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D.C.Ⅱ.S.S第一話「創造と邂逅と…」

○D.C.Ⅱ.S.S第一話「創造と邂逅と…」○

深々と桜が舞っていた。

…やがてそれは雪のように降り積もり…

…冬の桜並木を淡く染めはじめた…




「…できた…ボクは成功したんだ…」
そこに一人の少女がいた。
二括りにした金色の髪と透き通るほど白い肌…
そしてリボン状の髪留めと漆黒のマント…
まるでハロウィンの仮装行列から抜け出してきた女の子のような風貌である。
だがそんな少女を不思議と誰も見咎めはしない…。
そうここは彼女の「魔法の領域」なのだ。

「…これで…理論上はおばあちゃんのと同じように動作するはず…だよね…」

そして少女は目の前の桜へと寄り添い…その願いを口にした。




------ 芳乃邸~桜内義之~ -------

…俺が覚えている一番古い光景は…

雪のように舞う無数の桜の花びらと…

その中で手を差しのべてくる金髪の女性…

芳乃さくら…そう、さくらさんの存在だった。

だからその後すぐに朝倉の家に預けられ長年そこで育っていても

俺にとって親代わりと思える人はやはりさくらさんだった。

現在、そのさくらさんとはちょっとしたきっかけ

もとい一年前までお世話になっていた朝倉家の家主

純一さんからの提案により同居生活中である。

…と言っても住まいである芳乃邸に当のさくらさんは

あまり居なかったりするのだが。

さくらさん曰く「仕事が忙しいから」なのだそうで。

かく言うそのお仕事が現在自分が通っている

学園の理事長だったりするのだから

俺の住む世界は狭いつーかなんつーか。

「いつも忙しい、忙しいとか言ってろくに休まないし…。
 ま、被保護者としては心配なわけで…。」

…そうして俺はいつもよりちょっとだけ豪華な
食卓を用意してさくらさんを待つことにした…。



----- 家路~芳乃さくら~ --------

家に帰る…それは少し前までは希薄な意識だった…
帰るための家に家族は居ない
それが当たり前の生活をずっと続けてきたから…

だから家に明かりが灯っているのを見ると
本当に安らぐ…自分はずっとそれを望んできたのだと…

ガラガラガラッ
慣れた手つきで引き戸を引いたさの先には…

「あ、さくらさん、お帰りなさい。」

優しく出迎えてくれる家族の声…

部屋の置くから感じられる温かな香り…

だからボクはそれに元気に応えた。

「ただいま、義之くん。」


-------------------------------


……
………そう、再生した「枯れない桜」は願いを叶えた………

一人ぼっちであることに耐えられなくなったボクの

「ボクにも家族が…子どもが欲しいです」という夢を。

でもその「枯れない桜」には致命的な欠陥があった。

昔、ボクの『おばあちゃん』が作った「枯れない桜」がボクを例外として

あくまで人々の純粋な願いだけを叶えてきたのに対して、

ボクが作った「枯れない桜」は人々の持つ

嫉妬といった類の負の感情に起因する願いまでも無差別に叶えてしまう…

最初はたいした被害はなかった…

けれどだんだんと吸収された人々の欲望は

蓄積され、肥大化し、また負の感情を招きよせていく。

ボク自身がたまに手入れをしているおかげで

まだ現実には願いとして発現はしていないが

このままでは現実世界に影響が出るのは時間の問題…

いや、些細な事件であれば既に具現化しはじめている…

「…なんで上手く行かないんだろう…」

口ではそう言いながらもボクは、本当は分かっていた…

この桜が最初に叶えたボクの願い…それ自体が…

最初から不純な想いを内包した願いであったことを。

恐らくソレが原因で「枯れない桜」に負の感情に満ちた

願いが流れ込んできているのだということを。

「…分かってる…これは全部ボクのせいだ…」


--------------------------------------




------------- 寝室~桜内義之~ ---------------------

さくらさんとの遅い夕食を終えた俺は自分の部屋に戻り

明日の登校に備えて準備をしていた。

「ま、今日は由夢や音姉が来なかったからな…楽なもんだ。」

…と、隣の朝倉家の家の明かりを眺めながらつぶやく。

隣の朝倉姉妹とはつい数ヶ月前までは一緒に暮らしていたわけで

こちらに遊びに来ること自体、それほど不思議は無い。

だが問題はその頻度である。あちらの家には祖父の純一さん

くらいしか居ないということもあるのだろうが

さすがに週に何回もやってくるのでは別居しはじめた意味が

無いのではと思えてしょうがない。

「ま、イヤってわけじゃないんだけどさ。」

正直、姉妹二人がいると楽しいし、さくらさんも一緒だと

本当に家族の食卓って感じになる。

けど…その間、純一さんはどうしてるんだろうか…?

これだけうちに孫娘二人が来てるということは

純一さんには寂しいことじゃないのだろうか…。

そこでふと一つ思い当たるフシがあった。

それはずっと海外勤めをしているという

純一さんの奥さん…音夢さんのことだ。

夕方からの独りの時間、それは純一さんにとって

離れて暮らす音夢さんと話せる大切な時間なのだろう。

そこにはいくつになっても仲むつまじい二人の様子が浮かぶ。

「そっか…、電話越しでも一日、一回は一緒にいてあげたいよな…。」



…思考が適度に散漫になってきたことからそれを睡眠の

シグナルと判断、ベッドにもぐりこむ。

ふとそこで襲ってくる違和感…。

「また誰かの夢を見るのか…」

俺のアタマに曖昧なイメージが奔流のように流れ込んでくる。

正直、ものごころついてからこのかた

つきまとってきた感覚だけにもう慣れたものだった。





…けれど今日の夢はどこか違和感があった…

…大抵の夢は支離滅裂なものなのだが…

…今回の夢は視界がぼやけずがはっきりとしている…

…けれどそこには同時に…

…淡い過去の記憶のように…

…セピア色の物悲しい空気が…

…流れていた…



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>>>>>第2話へ…つづく


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テーマ : D.C.?S.S. ~ダ・カーポ? セカンドシーズン~ - ジャンル : アニメ・コミック

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