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D.C.ⅡS.C.E.X.

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ダ・カーポⅡSS.Plus0:「Graduation~桜の下で~」

…それはうららかな春の朝…

他人から見れば
なんの変哲もない一日の始まり。
けれど自分にとっては特別な一日。

なぜなら今日は風見学園の卒業式のある日で…

そして俺、桜内義之はめでたく
追い出される身なのである。

「これで…最後か…」
感慨深くつぶやくと同時に玄関を開け
通い慣れた通学路へと一歩を踏み出す。

ふと目に留まる鮮やかな花びらの群れ…

何年か前には見飽きるほど見続けてきた光景。
けれど今は春の短い間しか咲かない花…

「そうか、今年も咲けたんだな…」

この光景を目の前にすると咲き誇る花と同じ名前の
人のことを思い出さずにはいられなくて、
特別な思いが蘇る。

きっとあの人がこの場にいれば
間違いなく大喜びで祝福してくれるだろう。

けれど…今はここにあの人はいない…

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母さん…

自分にできることは何だったんだろう。
結局気づけなかった。

…いつも見せてくれていた無邪気な笑顔。
そのウラに隠された真実に。

今、思い出しても年齢のこととか
母さん自身のことを聞くと
必ずはぐらかされてたように思う。

「レディーに失礼だよっ!」って

ちょっと怒って拗ねた顔もホント子供みたいで。
いつもそうやって誤魔化されてた。

それでもその子供っぽい仕草の合間から
不意に見せる大人な顔や真摯な眼差しに
ドキっとさせられて…
やっぱり自分の保護者なんだって気付かされたり…。

改めて思い起こしても華奢で小さな背中…
でもそんな背中に自分はいっぱい、いっぱい縋ってたんだ…。

だから何か恩返しがしたかった。
実際に一緒に暮らせたのは
最後の一年間だけだったけど…
その間だけでも何か…。

でもその頃の母さんは俺にとってあくまで保護者で
実の母親だとは知らなかった。

いつもあまり家に帰って来ないのも
学園長としての仕事が忙しいから
なんてのは本当は嘘で…

俺自身の命を守る為に
”枯れない桜”につきっきりだった
なんてことも知る由も無かった…。

いつも幸せそうに笑ってたから。

心配させたく無かったんだろう。
流石に別れの前の数か月は
なんとなく無理してるなって気づいたけど…

でも自分の前で懸命に笑顔を作って
何も心配しなくて良いって笑う母さんを
問い詰めたりなんてできなかった…
できなかったんだ…。
あんな別れが来るなんて
知ってたら絶対止めてたのに…。
最後の最後まで母さんは嘘つきだったから。

「ちょっと出かけるけど心配しないで」って…。

「ちょっと…か。」

そして、まだ自分は待っている。
3年以上経ってしまったその”ちょっと”の間を…。

「見てますか、母さん。俺、卒業しちゃったんですよ。
 ちょっとって言いながら全然帰って来やしないから
 学園長の母さんから受け取るはずだった卒業証書
 …結局、別の人に渡されちゃったじゃないですか…。」

…そうぼやきながら空を見上げる。

湧き上がってくるものを
こぼしたくなかったから…

―――ッ

不意に吹き抜けた風

…宙へ舞い上がった桜…

…そのひとひらが耳元を通り過ぎる…

そこに母さん…さくらさんの笑い声が聞こえた気がした。
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テーマ : D.C.?S.S. ~ダ・カーポ? セカンドシーズン~ - ジャンル : アニメ・コミック

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