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D.C.D.X.S.S.

※D.C.D.X.(クリスマスファンディスク)より二次創作です。
聖夜のアメージング・ストーリーD.C.Ⅱ側EDから。

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○D.C.D.X.~それは叶わざる願いの残照~

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クリスマスの祭典が行われる学園
その準備で残る生徒たちのにぎやかな声が
聞こえてくる。最初はぼんやりと
でも、だんだんとその喧騒は
現実の音としての輪郭をともなっていく…

「っ!?」

そこでようやくハッと気がつく。
見慣れた学園長室でボクのカラダは長い眠りから
醒めたようなけだるい倦怠感を覚えていた…。

「一体、何をしていたんだろう?」

寝起きの頭で状況を整理しつつあたりを
見回すとそこには眠りにつく
一人の男子生徒の姿があった。

「よし…ゆき…くん?」

あぁ、そうかボクは…

― 夢を見ていた ―

過去の世界を繰り返すような夢を…。
永遠に続く風見学園での
クリスマス・パーティの夢…。

…きっとどこかで今ある現実を否定したい
というボクの弱い心と古い過去の記憶とが
「枯れない桜」の力で混合されたために
魅せられてしまった夢なのだろう。

夢の中身自体は断片的にしか覚えていないが
最終的には無限ループとなった夢の世界から
義之くんや学園のみんなに助けてもらった
ことだけははっきりと覚えていた…。

「なんでボクはあんな夢を…?」

終わらない祭日…まぁ分かりやすい子どもの
願望であり、そのような子どもっぽい願いを
大切にし続けられているのはボクの長所でもあると
思っている。それでもチグハグな願望の夢だった。

なぜならそこに祭りの準備をそれとなく見回って
楽しむ観測者としてのボクは居ても
ホントの意味での祭りの参加者としてのボクは
その夢の中についぞ登場しなかったからだ。

ただ単に懐かしさの中に逃げたかっただけなんだろうか?

いや、結局、夢の中ですら想像できなかったのだろう。
本当の意味での幸せなクリスマスの聖夜を。

そう、夢の中ですら彼とボクが
結ばれると思えなかったのだ。

おそらくその結果がクリスマス祭の
準備モラトリアム期間を無限ループするだけの
あのなんとも稚拙な夢につながってしまった。

いや、結局のところボクは…

「おにいちゃん…」

彼のことをつぶやく。何度も頭の中では
クリスマスコンパを学生時分に二人で
カップルのようにはしゃぐ姿を想像した。

…でも、たとえ夢の中であったとしても
現実味を伴えないほど二人が結ばれるという
シナリオまでのハードルは高かったのだ。

…だってボクは一度どんな夢だって
叶う世界、ボクのおばあちゃんが植えた
「枯れない桜」という究極の願望樹の力を
つかえる世界で、それでも音夢ちゃんに敵わなかったんだから。

「そうだよ、やっぱりもう過去の話なんだよ…」

言葉にするほどに拭えない何かが積もる。
でもボクは「意気地無しな夢をみること」で
ある意味、最後の一線は踏みとどまったともいえる。

…あれがもし、本当にお兄ちゃんと結ばれた夢だったとしたら?

いけない想像だなとは思う。それにボクと音夢ちゃんで
板挟みになったとき結局お兄ちゃんはボクを選んでくれない
だろう。お兄ちゃんはいつだって
困っている側の、立場の弱い側の味方だったんだから。

「…ボクだってホントは弱いんだよ?」

それは精神的な観点では事実、でも現実の力関係では…
詭弁だなと思う。魔法で何でも思い通りにできた立場に
いたボクは50年前のあの時点で、弱い立場にあったとは
言い難いだろうし、むしろ強すぎる力に踊らされるほどだった。

実際、想像通りに現実は動いた。それが定めであるかのように。

だから…

「…ボク、魔法使いになんてなりたくなかった。
 こんなふうに相手の考えてることが手に取るように
 想像できてしまうほど頭も良くなりたくなんてなかった。
 ボクは…ボクはただ恋するだけの女の子になりたかったんだ…。」

…そこまで思考をまとめたところで
先程の「拙いちぐはぐな夢」でのボクの立場は
単なるお兄ちゃんの幼馴染でクラスメイトで
ちょっと他人より親しいだけの存在で…

…たぶんそういった「ふつうの女の子」の条件で
クリスマスコンパに臨みたいと夢想したんだろうなと思えてきた…。

「で、結局告白できずに無限ループしてたりしたと…。」

…我ながらなんとも憐れで滑稽な夢話だなと…


……
………

「うぅ、さく…ら…さん」
とりとめのない思索を打ち破ったのは義之くんの声…。

まだうなされているのか目覚める気配はない。
それでもボクの名前を呼んで心配してくれてるのが分かる…。

「フフ、しょうがないなぁ…」
言葉とは裏腹にボクの現在の
かけがえのない幸せはここにあるんだと
再確認し、あったかい気持ちでいっぱいになった。

…そう、だからボクは過去にとらわれた夢を振り払い
ボクにとっての「未来への希望」にそっと手を伸ばした。

今の素直な気持ちを行動で表すために。

「…やっぱり夢から助けてくれた
 ご褒美は ひざまくら、だよね♪」


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fin


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